ちゅらかじとがちまやぁ

桜坂の憂鬱

これが平成19年2月18日現在の桜坂の姿だ。
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無残なのだ、再開発、活性化、安全に遊べる明るい街づくり。
お役所が好きな決まり文句が浮かんでくる。再開発とは破壊の事か。活性化とはとりあえず“おしゃれ”なビル建築を建てる事か。安全に遊べる明るい街とは、家族連れやお母さん達が来られる街なのか、そんな場所は他にあるではないか。この街はもう作れないよ
ボクは酒が飲めないが、桜坂の暗い路地が大好きだった。その路地の片側が引っぺがされ、もう路地ではなくなってしまっている。やがてビルが建てば空が狭くなってしまうだろう。今の国際通りが正に将来の桜坂の姿なのか。ボクが沖縄に来てからたった3年間で国際通りの空はすっかり狭くなってしまっている。
悦ちゃんを出て空を見上げると、希望が丘公園の向こうの空は国際通りの明かりにほんのりと照らされて明るくなっていたり、ふと後ろを振り返ると真っ暗な路地の上には月が輝いていた事もあった。あてもなく路地から路地に歩いていると、猫達やおじぃ、おばぁが座り込んでいたり・・・

仕事に悩み、馴染みのスナックでおばぁのママさんに愚痴を聞いてもらった人も居ただろう。
沖縄で夢破れ、内地へ帰る最後の別れに悦ちゃんのおでんを食べた人も居ただろう。
就職が決まり、つつましい祝杯をあげた人も居ただろう。
好きな女性に振られ、やけ酒を飲み、朝まで路地裏で寝た人も居ただろう。
いろんな、いろんな、いろんな数え切れない人々の思いが沈溺し、夜の桜坂にはそんな情念の陽炎が渦巻いて立ち登っているような気がしていた。

しかし、再開発と活性化はもう後戻りの出来ないところまで来ている。
そしてすっかり再開発された街には、子供だましの様な張りぼての“懐かしい町並み”と言い換えられた土産物屋通りが出来るのだろうか。
猫達も憂いているのだ。
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こんな唄の歌詞が浮かんできた
「黄金の花」
黄金の花が咲くという
うわさで夢を描いたの
家族をふるさと、ふるさとに
置いて泣き泣き、出てきたの

素朴で純情な人たちよ
きれいな目をした人たちよ
黄金でその目を汚さないで
黄金の花はいつか散る

楽しく仕事をしてますか
寿司や納豆食べてますか
病気のお金はありますか
悪い人には気をつけて

素朴で純情な人たちよ
ことばの違う人たちよ
黄金で心を汚さないで
黄金の花はいつか散る

あなたの生まれたその国に
どんな花が咲きますか
神が与えた宝物
それはお金じゃないはずよ

素朴で純情な人たちよ
本当の花を咲かせてね
黄金で心を捨てないで
黄金の花はいつか散る

素朴で純情な人たちよ
体だけはお大事に
黄金で心を捨てないで
黄金の花はいつか散る

黄金で心を捨てないで
本当の花を咲かせてね

作詞:岡本おさみ 作曲:知名定男 うた:ネーネーズ 1994

by tenmorimori | 2007-02-18 21:09 | しかまんけぇ | Comments(11)
Commented by yanbaru5588 at 2007-02-18 22:39
桜坂ボクのイメージとは随分違いますね~ 写真は平和通りに向かってるのかな? 猫の表情もちと寂しそうですね、南ヌ窯の周辺にも猫がたくさんいた記憶が・・・元気かなぁ 
貴重な写真ありがとう。
黄金の花 素直な気持ちにしてくれて好きです。
Commented by satoyan at 2007-02-19 08:31 x
初めて沖縄に行った時に、台風迫る夜の桜坂に連れて行ってもらいましたね。
生暖かい路地の濃密な闇を、さささと猫が駆け抜け、頭をぶつけそうなところにある電飾の看板やドアの向こうから漏れ聞こえる店のさんざめきを思い出します。

寒々とした更地が無惨ですね。
Commented by 大阪泉州のK.S at 2007-02-19 19:39 x
壺屋の郷へ桜坂をよぎる桜月夜
     こよひ逢ふ人みなうつくしき
大阪に帰るまでのひととき家内と散歩しました。なんだかうれしかった。
Commented by 下北N at 2007-02-19 19:54 x
惨たんたる有様。自分の皮膚が剥がされていくようだ。
Commented by なあこ at 2007-02-19 20:06 x
あれ・・・?ちょっと行かないうちに・・・ここにあった餃子屋さんがなくなってる・・・。あの怪しくノスタルジックな雰囲気がよかった町なのに。あんまり綺麗になっちゃうと困るなぁ・・・。大人の町じゃなくなっちゃうのでしょうか?
Commented by tenmorimori at 2007-02-19 20:49
>こうべさん、ボクも昼間に久しぶりに見て、あまりの開けぶりに愕然としました。あの猫達はどこに行くんでしょうねぇ

>satoyan、あの頃は今思えば、最後の姿だったのかもしれませんね。あの後、てんぷす広場がオープンして破壊が始まり出し、あっという間に道路に侵食されています。よそ者のセンチメンタリズムと言われればそうかも知れませんが、なんだかなぁ

>K・Sさん、染みますねぇ、その一文は。奥さんと夜の桜坂を散策されて嬉しかった気持ち、よく分かります。
いつかボクも守りたい人と散策したかった

>下北Nさんぐらいのベテランになると、ボク等なんかでは計り知れない寂しさを感じられることでしょうね。
桜坂の奥のくねくねした路地ごと、あの古い町並みが無くなってしまいました。

>なあこさん、凄い速さで開発されています。あの餃子屋さん(新茶屋さん)は1枚目の写真の中央の黄色い建物に移転されてます。
Commented by だいろく at 2007-02-19 21:30 x
なんか 寂しくなるね
桜坂大好きなのに。。
Commented by しーぽん at 2007-02-19 22:03 x
てんもりさん おひさしぶりです。
桜坂好きのわたしも旧新茶屋さんがなくなって
様子が変ったのを見て すごく淋しくて淋しくて・・・
いずれみんなきれいになっちゃうんじゃないかって ドキドキです。
大好きな桜坂が変ってしまったら どこに行ったらいいんだろ・・
「黄金の花」 今 もっともっとみんなに聞いて欲しい歌です!!
Commented by くくら at 2007-02-20 08:16 x
てんもりさん、こんにちは、初めまして。
おいしそうな写真をいつもよだれを垂らしながら見ています。
2枚目の写真、右側のほうは駐車場じゃありませんでしたか?
先月里帰りした時に友人の車をとめたのですが。。。なくなっちゃったのかなぁ。友人はいつもそこを利用してたので早速教えてあげなければ。
沖縄は人々も町並みも本土っぽくなってくるのはさみしいけど仕方ないことなのかなぁ。
Commented by aqqo73 at 2007-02-20 20:39 x
旧新茶屋の店舗がなくなってしまった桜坂。
自分の目で見たくありません・・・。

Commented by tenmorimori at 2007-02-20 21:30
>だいろくさん、早速の訪問ありがとうございます。ボクの様な桜坂新参者でもこんなに寂しいのに、ベテランの酒飲みの人たちにはもっとたまらない事なんでしょうね。ほろ酔いで歩きたかったなぁ

>しーぽんさん、お久しぶりです。しーぽんさんもよく行かれてましたよね。移転した新茶屋の看板は古いものを取り付けてありました。意地のようなものを感じましたよ。

>くくらさん、はじめまして。いつも見て頂いてありがとうございます。
お察しのとおり、かつては駐車場でした。ボクもよく利用していたのですが、無くなってしまいました・・・・・
こういった町並みを残していくには、個人の力では限界がありますね。
例えば、市なり県なりが、この界隈の貴重さを認識出来て、税金を投入しても残そうとすれば、変なファッションビルやシネコンなんかよりよっぽど沖縄らしく、日本でここだけの観光資源になると思うんですがね。

>aqqoさん、これは現実なんです。今度来られたときにはしっかりと目に焼き付けましょう。