ちゅらかじとがちまやぁ

へのこのはなし2

料理を待っているとシェフが「これ読んでみて」と1冊の本をテーブルに置いた。
年に一度のキャンプシュワブ開放の日に、楽しそうに遊ぶ米兵と女の子のモノクロ写真が表紙になっている。「シマが揺れる 沖縄・海辺のムラの物語」と題された本だ。著者は、浦島悦子さん。写真は石川真生さん。
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辺野古の基地問題の本かぁ、とパラパラとページをめくる。しかし、もう堪らなくなり本を閉じた。少し泣きそうになり、これは買って帰ってじっくり読みたいと思ったからだ。
パラパラとページを繰った1ページ1ページにモノクロ写真で現れる顔顔顔・・・・
おじぃ、おばぁ、おとぉ、おかぁ、にぃにぃ、ねぇねぇ、わらばー達、米兵達・・・・・
誰が悪い訳でもなく、誰が良い訳でもなく、国家同士の理不尽なやり方に蹂躙され、生活が変わってしまった人たちの怒った顔、悲しい顔、諦めきった顔、そして笑顔、顔しか目に入らなかった。その中に知った顔を見つけた。70歳を超えた金城祐治さんだ。以前辺野古への基地移設問題がテレビの特番で取り上げられたときに「辺野古・命を守る会」の代表と紹介されていた。
番組の中で、マンゴー畑の中でやさしい表情でインタビューを受けていた。そして場面が変わって、防衛施設局との交渉シーン。木で鼻をくくったような施設局の担当課長の話に、金城さんの表情が見る間に変わっていく。怒りで頬は震え、顔は真っ赤に染まり、目にはいっぱい涙が溜まっている。金城さんはたまらずテーブルを押しのけ担当者に迫ろうとするが「手を出したら負けだっ!」と周りから制止される。
あのおだやかな老人をここまで激高させる国の対応に唖然となった。
ボクには賛成か反対かすっぱりとは答えられない。ものすごく複雑な側面を持った問題なので、誰もが納得する落とし所は無いと思う。しかし、沖縄で一度でもスノーケリングやダイビングをしてきれいで豊かな海を見た人達は、あの海を見たら単純に「埋め立ては駄目なんじゃないか」と思うのが素直な気持ちだと思う。
福岡に帰る機上から、諫早湾の通称ギロチンで仕切られた埋め立て予定地がよく見える。空から見ると海の汚染がはっきり見える。どこの大型公共工事でも、環境アセスメントと称して学者の先生達(ときに有識者達とも呼ばれるが)は、判でついた様に環境への影響は最小限に抑えられると回答する。これらセンセー達の予測通りの最小限の環境破壊は守られた事はあるのだろうか?

沖縄に居るといろんな事を考えさせられますよ、ほんと・・・・
辺野古問題を知らない人にもこの本は読んで欲しい。
以前、へのこのはなしとして書いたが、最近になって、集落の頭上を通らないための片側進入のV字滑走路案と言っていたのが、米軍から双方向からの進入も有り得るとの話も聞こえてきた。
作る前から約束を反故にしてどうする(笑)
by tenmorimori | 2006-11-16 22:15 | Comments(3)
Commented by 金魚 at 2006-11-16 23:48 x
人はどうしても怒らねばならない時が、時としてありますよね・・・。
親として、大人として、人として。自分のためでなく、社会のため世界のため未来のためにどうしても譲ってはいけないものがあると思います。
静かに暮らしていた一般人の自分がエネルギーを振り絞って怒らねばならない時、世間のなさけなさに震えてしまうことでしょう。
それでも声をあげないことには、私利私欲のために未来を売り払ってしまう人がどんなに多いことか。
理想(論)を語る人を尊敬できる、そんな日が再び来ることを祈りたいです。
東京でもいろいろと考えていますが・・・もっと声を大きくしないとね。
てんもりさんのブログにも触発されています。いつもありがとうございます。これからも考えて生きていきたいです。おいしいものを美味しくいただける日常が続くように!
Commented by 下北N at 2006-11-17 00:05 x
子供のころ父母と潮干狩りにいった。
沢山の江戸前アサリが取れ、夕餉に笑顔の花が咲いた。
そこは今も大勢の人達が楽しんでいる。でも海は無い。

まだ沖縄の大地に杭を打ち続けるのか。
雨が降り、流れる赤土、その色はまさしく沖縄の血だ。
Commented by てんもり at 2006-11-17 21:35 x
こういった情報は発信できる人は出来るだけ発信していくべきなんでしょうね。大切な意見ありがとうございます。
これからもボクなりに考えていきたいと思います。