ちゅらかじとがちまやぁ

上原美智子さんの世界に震える

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ひょんなご縁から上原美智子さんのご自宅でお手伝い。詳しくは書けないが、ガテンな仕事の助っ人として呼ばれたのだ。朝9時から作業開始し、けっこうな人数が集まったので予想外に作業が進む。上原美智子さんは高名な絹織り作家で、海外での個展開催や、昨年はNHKのETV特集でも1時間半に亘って番組が組まれたほどの方だ。恥ずかしながらボクは知らなかったのだが、ネットで調べてみるとその作品の数々は素人のボクが見ても震えがくるほどの衝撃の作品群だった。

昼になり、上原美智子さんがランチを振舞ってくれた。パッションフルーツの棚の下の日陰には爽やかな風が吹き込み極上のランチタイム。
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パッションフルーツの花(撮影地宗像堂)
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大きな寸胴に丁寧に仕事がされた野菜たちがたっぷりのポトフ。
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ポトフに恐ろしいほど合う宗像堂のパンたち
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おにぎりと沖縄てんぷら
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大皿には生ハム、アボカドの入ったサラダ
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これらの良質の食べ物(沖縄てんぷら以外(笑))が普段し慣れない作業で疲れた身体に染み渡っていく。
昼飯の後は、予想外に作業が進んでいるのでお昼ねタイム。工房の前の芝生に大の字。
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午後の作業も順調に進み、やがて終了。差し入れの熊本のスイカがとても美味しい。
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スイカをパクついていると、一人の女性が現れた。見ると面識は無いが、島や宝コンサートでお見受けし、さらに先日のホクレア号出航イベントでフラのバックで演奏していた方だ。
偶然にもこの1週間で3回もお会いした。
ヒロミさんと皆に呼ばれているこの人は、アフリカンパーカッショニストなのだ。そして、アフリカの楽器カリンバ(親指ピアノ)を演奏してくれた。
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パッションの棚下の日陰に座り込み、さわさわと吹き込む風に乗ってカリンバの音が心地よいリズムと音量で疲れた身体に響いてくる。みんなシンとして聞きほれている。
もうたまんないのである、こんな贅沢な時間ってあるだろうか、いつまでもこうしていたい、ずっと沖縄に居たい・・・・そんな事が頭に浮かんでいるときにふいに始まったヒロミさんの唄。
風笛の様に静かにフェイドインしてきたその唄はいつから始まったのかさえも分からないほど自然に始まった。と同時にぐっとこみ上げてくるものに耐えてしっかりと目を開いたまま聞き続けた・・・
決してこんな流れに意図した訳ではないが、集まってくる人たちが絶妙のタイミングでそれぞれの仕事をし、図らずも〆の音楽までもが聴けた。
こんなご縁と出会いをもたらしてくれた沖縄に感謝!沖縄の究極の魅力は“ひと”なんだなぁと改めて確信した一日だった。

そして大きなおまけ。顔と手を洗い、汗だらけのTシャツを着替えてご自宅の中で作品を見せていただく。ご自宅にあるのは、娘さんのためのウエディングベールなど極めて私的なもので、美術館に展示されているものと違って逆に貴重である。
“あけずば織”(あけずばはとんぼの羽の意)と呼ばれる絹織物。
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ここでカメラの電池が切れた。しっかりと目に焼き付けなさいという意味だろう。
次々と出される布は、単に布と呼ぶことは出来ないほどの生命感を感じる。特に薄い布の綾なす彩りは折れた部分、曲がった部分、重なった部分で驚くほどの表情・色合いの変化を見せ、見せてもらっている全員が息を呑んで凝視している。
そして最後に見せられた驚異の布。
生きた蚕の繭からほどき、その髪の毛の十分の一(50分の1ミリ)ほどの細さの単糸だけで手織りされた3mほどの布。糸の細さの単位デニールで言うと蚕の糸は3~3.7デニール。1デニールは9,000mつまり9kmの長さで1グラムの重さがあるので、蚕の糸は3,000mで約1グラムの重さになるという。
その目に見えない程の糸を織る様はテレビで見るとパントマイムの様だったと言う。そして当然ちょっとした湿気でも切れやすいので「切れては結びの繰り返しだったのよ、そのうちもう仕事ではなく、あっ切れたじゃあ結ぼうと淡々とした作業の様に思ってやったの」と仰っていた。その結ぶ手法も糸が見えないので勘で、まさにパンマイムの様に行われたという。
そしてふわっと丸められた3m余りの布を手に乗せてもらうと、重さの無いまるで暖かい空気の玉を乗せているようだった、そう暖かいのだ。
そしてその布は全然染めていないのに、静かに銀の光を放っているようだった
そのとき俗人(ボクの事です)の頭に浮かんだのは「天女の羽衣」という文字だった。
by tenmorimori | 2007-04-30 17:46 | 祭り・イベント | Comments(6)
Commented by etamama3 at 2007-05-01 19:33
こんにちは。
私、多分チラッとTV観たかも・・・
私、こう見えてもそちら系のお仕事(もっと俗っぽいけど)してましたので興味心神で読ませて頂ただきました。
てんもりさんは素敵なご縁がありますね。私も縁あっててんもりさんにお会いできたのは『沖縄』ですね。沖縄に感謝!です。
Commented by tenmorimori at 2007-05-01 20:05
ここ数ヶ月、本当に“縁”の不思議さありがたさに驚いてます。
ETVは宗像さんが録画されてるらしいので、今度お借りしようと思ってます。
あの布は(芸術作品は大抵そうですけど)生で見ると凄いです。東京の美術館にも常設展示されているみたいなので、機会があれば生で体験してみてください。芸術家って凄いですね。
Commented by yanbaru5588 at 2007-05-01 21:59
その空気 色 食べ物 なんと贅沢なんだろう。。。いいなぁ。
ご縁に感謝ですね。
Commented by Salty at 2007-05-01 22:02 x
読み進めるうちに泣きそうになりました。てんもりさんがいかにステキな時間を過ごされたか、うらやましいです。
Commented by 大阪泉州のK.S at 2007-05-02 06:55 x
こんにちは、織は糸を紡ぎ、携わる人達の思いを紡いで出来上がるのですね、てんもりさんもすてきな紡ぎ、織り方ですね。
Commented by tenmorimori at 2007-05-08 20:06
>こうべさん、本当の贅沢とはお金をかけたものではなくこんな事なんでしょうね。少し時間が経ったいま、改めて思います。

>Saltyさん、夢の様な時間でした。ヒロミさんの歌は聞いたことの無い言語でしたが、伝わってくるものなんですねぇ

>K・Sさん、まさにそうですね、ボクの人生の縦糸横糸の織はどうなっていくのか、太かったり細かったり、多分ところどころよれたり切れたり、そして最後の折りあがりは味のある布に仕上がっていたいもんです。