みちのくPart3
寄り道が多くて(いつもなのだが)盛岡を出る時刻が予定より遅くなる。盛岡から田沢湖駅までは秋田新幹線こまちで約30分。田沢湖駅に着いたときはすでに6時を過ぎていた。
祈るようにバスの時間を見ると乳頭温泉行きはすでに出たあと。仕方なくタクシーに乗る。
すっかり暗くなった道をタクシーが進む。山間部に入ると道の両側は2m近い雪の壁だ。途中でふぶきだし、霧も出てきてヘッドライトに浮かぶ部分しかみえない。どこをどう走っているのかわからないまま、雪道に慣れたタクシーはがしがし進む。
やがて温泉街の明かりがぽつぽつ見え始めて一安心だ。約40分の行程、バスだと740円、タクシーは6,900円、くーーくやしい。
乳頭山の登山口、乳頭温泉郷は全体が雪に埋もれている。平均したら3mくらいの積雪だろうか、風が強いので上下左右四方八方から雪が吹き付けてくる。降りたところは今夜泊まる「大釜温泉」の前だった。
建物の半分くらいが雪に埋もれている。
大釜温泉到着
大釜夕食
古い学校を移築した建物で広くて勾配のゆるい階段に小学校らしさがうかがえる。館内は暖房が行き届き、ぽかぽかである。近年の秘湯ブームで各旅館共にリニューアルされていて、室内は古いがきれいだ。
まずは温泉、男女共に大浴場が檜の風呂で露天風呂が併設されている。このあたりの温泉は泉質が強力で、以前田沢湖近くの温泉に入ったときは、入浴後に身に着けたシャツが、家に帰り洗濯したあとまで硫黄の臭いがしていたほどだ。
その温泉くさーい湯に浸かり身体を伸ばす。至福のひとときだ。
山の幸の夕食は大広間でとる。古いタイプのコンポーネントステレオが置いてあり、LP盤がざっと見て1000枚くらい収納されていた。よく見るとまさに私好みのソウルやジャズ、フュージョンのレコードが殆んどである。残念ながらターンテーブルが壊れていて聞くことができなかった。
部屋に帰り、本をよんでいると頭のうえで大きな猫かなんかが走りまわるようなズダダダ・ドドドドと音がしてきて、寝ている夜中にもときおりその音が響いていた。防寒の二重窓が凍り付いているのを部屋のポットからお湯をかけて解かし、開けてみると、音の正体は屋根から雪がすべり落ちる音のようだった。雪国ならではである。
--------------------------------------------------------------------------------
2月16日
翌朝、エンジン音で目が覚める。外を見てみると道路には大きな除雪車が走り回り、旅館の敷地内は小型の除雪機できれいに除雪している。毎朝の仕事のようで改めて雪国の厳しさを思う。
今夜は同じ温泉郷の一番奥まったところにある「孫六温泉」に泊まる。この雪では温泉めぐりもままならないので、荷物を預け、田沢湖から近い「みちのくの小京都」、角館に行ってみることにする。
大釜窓外
田沢湖PFにて
田沢湖駅から新幹線こまちで13分、ローカルの田沢湖線で20分ほど。角館は古い武家屋敷が観光のおおきな目玉になっている。駅舎もそれを意識した作りだ。
市内を流れる大きな檜内川沿いには桜並木が広がり、春に来れば見事な景色が見られそうだ。駅に春の風景のポスターが貼ってあったので写真に撮る。
角館駅
檜内川橋
角館桜
小さな町なのでゆっくりと歩いてまわる。映画「たそがれ清兵衛」が撮影されたという武家屋敷街を抜け檜内川に出る。
秋田の伝統菓子「もろこし」の店で生のもろこしを試食。これがうまい!もろこしは小豆の粉を固めて乾燥させた物で口に含むとじわーっと溶けてなんとも言えずうまいのだ。生はめずらしく、しっとりしてうまい。
古い町らしく、蕎麦屋はたくさんあるのだが、体はラーメンモード。やがて飲み屋街の一角に営業中のラーメン屋を発見。
「坊々ラーメン」と言う屋号である。醤油ラーメンを頼み厨房を見る。鶏がらをベースに野菜で旨みを出しているようだ。
スープはやや濃い目の味付けで、なるほど野菜の甘みがよく出ている。隠し味的に見え隠れするのはセロリの風味のようだ。
角館岩橋家
角館路地
坊々ラーメン
坊々ラーメン450円
ラーメンを食べ終え駅に向かうと、地方の町ではよく見かける廃業した映画館があり、その隣にはこれも廃業したラーメン屋があった。蒸気の出るラーメンのディスプレイに雪が積もりカキ氷のようになっている。
廃映画館
かき氷ラーメン
今夜の宿はすごいぞ!
Part4へつづく